知ってるつもりな自分。
自分の中で、正しく認識してるかどうかで、被災した場所、モノ、人との向き合い方が少し変わってくるのかもしれません。
倉敷市真備町の服部地区での活動から東京に戻った時に、気になったニュースを目にしました。
真備町、浸水被害の2100棟余を一括で「全壊」判定へ
僕は『全壊判定』になった家というのは、すべて順番に取り壊されると思っていました。だから、このニュースが真備町の人たちにとっていいニュースなのか、そうとは言えないのかが、正直、分かりませんでした。
曖昧だった事を、改めてピースボート災害ボランティアセンターの事務局長の上島くんに聞きました。
事務局長というと、肩書き的にはとても偉い人に聞こえますが・・・まぁ、偉いんですけど、今風に言うと、上島ハンパねぇんです。
東日本大震災の時に常に先頭に立って悲しみと闘っていた男です。集まってくれたボランティアに、守ってほしい注意事項を伝えてた時の写真(2011年5月)です。

先頭にも軽トラの上にも立つのが似合う男です。
詳しくキッチリ伝えようとすると、ものすごく難しい事になるので、なるべく簡単に分かりやすく伝えられればと思っています。
全壊判定を受けた自宅でも、取り壊さなくても大丈夫だそうです。(取り壊さなくてもいい可能性があるという言い方がいいのかもしれません。)
行政は住民さんへの保証をする為に、被害のカテゴリ分けをしています。一部損壊、半壊、大規模半壊、全壊くらいですが、全壊判定になっていた方が公的な補助が多くなります。なので住民さんにとっては、浸水したのであれば、一律「全壊」になった方が良いのです。
他にも、義援金の配分が変わってきます。(今回はまだ配分割合は決まってないので、あくまでも例えの金額ですが)一部損壊は5万円(修理費用で補助の金額が変わります)、半壊だと100万円、全壊だと200万円という具合に変わってきます。
一部損壊は床下浸水、半壊は1m未満、全壊が1.8m以上と決まっていて、わずかな差で金額が変わってきてしまうため、一律『全壊』としてもらう方が良いのです。つまり、記事にもあるように
倉敷市真備町では、4000棟以上が浸水したので、1軒ごとに調査すると膨大な作業になるため、被害が確実なエリアをまとめて判定することで『り災証明書』の速やかな発行に繋げたいとしてるのです。
倉敷市の判断は、東日本大震災の時を教訓にしており(『り災証明書』を発行するのに、ものすごく時間がかかった。)、敏速な判断だと、僕は感じています。
全壊判定となった場合で、家を取り壊す場合は、自治体が取り壊しの費用を負担します。
では、取り壊されるという家に、ボランティアが、泥出しや家財道具出しなどをする意味はなんなのか?もっというと、その活動は必要なのか?という疑問があります。
実際、東日本大震災の時に、ボランティアさんに言われた事もありました。(僕もボランティアでしたが、少し長くいた分、聞かれる立ち位置にいました。)
合理的ではないという理由は、分かる気がします。
泥出しをするなら、建て替えをする人たち、または、泥を出せば、その家に住める人たちを、先にすべきだという意見も理解出来なくはないです。
ただ、合理的だけでは片付けられない思いが、たくさんあるのだと思っていました。まだ家の中に残っている大切なものを救い出して欲しいという理由もあります。
大規模な水害の場合、大切な物が流されてしまった可能性もあるのですが、熊本地震の時は、完全に倒壊した家からも、ボランティアが慎重に、大切な写真や思い出の品を救出する活動がありました。
石巻では、津波で流された大切な写真、トロフィーや卒業証書などの思い出の品が、別の人の家に流れ着いていた事もありました。
それらを、救出するという理由もあって、家の中に入った泥を出していました。
もうひとつ。家の中に泥が入り、見た目やニオイもひどくて、変わり果てた家のままだと、住民さんとしても取り壊すしか選択肢がないと思うかもしれません。
家財道具を運び出し、泥がなくなって綺麗に清掃された(ボランティアが出来る限界はありますが)我が家を見ると『再建』を考える人も出てくるんじゃないかと思うのです。少しだけでも前に進めるお手伝いなのだと思います。
もうひとつ知らなかったのは、全壊判定でもリフォームするという選択肢があるそうです。基礎や柱が残っていれば新築で立てるよりも300〜400万円ほど安くできるそうです。もちろん、金額だけの問題ではないのですが、リフォーム可能の判断は、自己判断ではなく、住宅診断のプロがやる事になるそうです。
我が家というのは、思い出が詰まった場所です。そんな我が家の『再建』を考える事が出来るかもしれないお手伝いが、家財道具の運び出しや、泥出しという(全壊判定の中)合理的ではないけれど『可能性』と『選択肢』を見つける活動だと思うのです。
半年ほど前にも書いたのですが、その時よりは、かいつまんで・・・もし、かいつまみたくないという方は、コチラをどうぞ。
全国高校サッカー大会で準優勝した流通経済大柏の監督が、連戦になってる大会日程に対して「運営優先ではなく、選手最優先で考えてほしい。人間の体は24時間経たないと回復しない。皆さんご存知なのに、連戦連戦になっている。そういうのは私たちの時代で終わりにしないといけない。96回の歴史で何を学んだか、何が進化したのかを検証しないといけない」とコメントされました。
このニュースが、直接、災害救援と繋がるわけではないのですが、災害を経験した僕たちは、何を学び、何を検証しなければいけないのか?そして、何を伝えないといけないのかという思いと同じような気がしました。
本日、フラノ・マルシェの中にある多目的スペース【タマリーバ】にて、19時からのイベントでは、どこまで伝えられるか分かりませんが、お話できたらと思います。
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